*画像はAmazonアソシエイトへのリンクを挿し絵として利用しているだけなので内容とは無関係です。
知らないおじさん、年の頃は60代か、が手狭なデパートの喫煙室で、おしゃれなダメージジーンズを履いている若い女性に説教していた。
「それ、お母さん縫ってくれないんか?そんな貧乏臭いズボン履いたらあかんっ!」
「はぁ・・・」
どうやら初対面同士のようだ。
程なくその女性は退室したが、そのおじさんを見ると・・・、
ピコ太郎ばりの豹柄コートを着ていた。僕は、お前が言うかと思った。
次に、ターゲットをカップルに変え、話し掛け始めた。
「あんたら、昼飯食ったか?」
「あっ、はい」
「何食った?」
「鰻です」
「あっこのウナギ屋か?」
「はい」
「あっこはテレビの撮影が入ればその場で焼くが、ちょうぼう(おそらく厨房のこと)には電子レンジが50台あって次々チンするだけやぞっ!クソ不味い」
僕は、営業妨害かと思った矢先、カップルも退室。あっ、喫煙室にはピコ太郎と僕しかいない・・・。
「おいっ!」
「あっ、はいっ!」
「何か、言いたいことあるんか?」
「いや、素敵なコートだなと思いまして・・・」
「おお、見る目があるな。わけのわからんこと言うおっさんやと思われたかもしらんが、実はワシはこういう者や」名刺を差し出した。
「えっ、あの世界的自動車メーカーの会長さんなんですか?」
「お前に、財産やるわっ。このコートもなっ、羽織ってみろ」
「まじっすか」
という展開は全くなく、カップルにタイミングを合わせてひっそりと喫煙室を後にした小心者の僕でした。
ジャーナリスト精神が足りず本当に申し訳ないです。(2016.12.28)