「カスハガ」をご存知でしょうか。カスのような絵ハガキの略で、送られても困ってしまう絵ハガキのこと。パッとしない観光地で制作された絵ハガキ・セットに紛れこんでいることが多く、意図が不明なもの。マイブーマーみうらじゅん氏が1998年に自身の著作の中で提唱した。
今回、私が紹介する絵ハガキがこの「カスハガ」に相当するのかどうかは微妙だが、かなりのカルチャーショックを受けた1枚だということに変わりはない。手に入れたのは今から11年前、まさに蔵出しと言える秘蔵品であり、当時は「カスハガ」という概念は知られてはいなかった。
1990年3月 私は1浪後、大阪の大学への進学が決まり、入学式前に住まい探しのため来阪していた。ちょっとした旅行気分だった私は友人宛てにハガキを書こうと大阪の絵ハガキ・セットを購入したのだ。
記憶は曖昧だが、セット10枚の中には大阪城や通天閣の絵ハガキがあったと思われる。
うち1枚に「Osaka at night」と題された絵ハガキがあったのだ。
普通に考えれば大阪の夜景、こんな1枚を想像するだろう。
何これー!真っ黒じゃーん!
黄色い縁取りと「Osaka at night」のタイトルが確信犯的作品であるということを物語る。当時、千葉県から単身大阪に乗り込んだ私は夢いっぱいだった。しかし、こう思わずにはいられなかった。
「何て恐ろしい所に来てしまったん、、、やろか・・・(関西弁練習)」(2001.7.4)