千葉県の南端、館山市内の僕の実家から程近く、真夏の陽光を一身に受けた稲穂が力強く茂る田園風景。その向こうにその建物はあった。
「原宿、タ、ン、ス?家具屋さんかな。こんな田舎で原宿もないだろう」
ちょっとした好奇心からだった。僕はあぜ道を掻き分け近づいてみることにした。
民家を改築したらしいその建物には「原宿ダンス」と書かれていた。
「原宿、ダ、ン、ス?どんな踊りだろう」
思い付くのは、一昔前、原宿の歩行者天国、通称ホコ天で派手な衣装に身を包んだ「たけのこ族」なる若者たちが踊っていたダンス。
「まさかね・・・」
そうつぶやくと僕は、西の方に入道雲を覗かせる夏の空をそっと見上げた。
「E~気持ち」
(2002.8.12)