49歳のおっさんである私がおもらしをした話だ。しかしこれは積極的自発的なおもらしだ。聞いて欲しい。
土地勘があるわけではない自宅から数キロ先のバーに飲みに出掛けた。会計を済ませてトイレに入ろうとすると先客があったので店を出た。
すぐにコンビニがあると考えて尿意を我慢し歩いた。しばらくすると予想通りコンビニを発見。「やっと小便できる」との安堵感を抱いてから目に入る「トイレ故障中」の貼り紙。この破壊力ある絶望感たるや。
次どこにあるとも知れぬコンビニを目指して深夜を彷徨い歩いた。ズボンの上から押さえても水道の蛇口とは違う。とうに我慢の限界を超えた。
諸兄ならば立小便を考えるだろう。しかし、どうか。私はテレビ放送でのお天気キャスターを生業としている。自分とて、立小便している男の天気予報を信用することはできまい。
限界点を迎え臨界点に達する尿意を堪えつつ正解を導こうと歩く。もうまっすぐには歩けない。コンビニにも見捨てられたのか見当たらない。
「おもらししよう・・・」積極的なおもらし。出した尿で公共の道路を汚してはならない。自分の尿は全て自分のパンツとズボンに吸い込ませて家に持ち帰る。帰宅してすぐに洗濯すれば良い。
最適解を得た49歳のおっさんは涼しい顔でおもらししながら帰路に着いたのだった。(2019.11.13)