おぎすシグレ『読んでほしい』
2021年7月7日の明日発売だが、Kindleで予約購入した私は前日の7月6日に入手して、一気に読んだ。今日中にブログに感想を認(したた)めたい。それが使命のようにも思えた。
著者のおぎすシグレさんは名古屋の売れっ子放送作家だ。名古屋の複数の放送局の複数の番組の作家を担当している。そんなに自社制作の番組数が多くない名古屋において物凄いこと。
私も一時期、毎週お天気コーナーの企画出しの会議でお世話になっていた。
仕事に対しての熱量が人一倍ある方で、元芸人だけあって味のある妙な空気感を纏った人だなあと思っていた。
そんなおぎすさんが、処女作を出版するというので買ったわけだが、これが何と書き下ろしの長編小説で、出版社があの幻冬舎、表紙イラストが手塚治虫文化賞受賞『大家さんと僕』の矢部太郎氏(気象予報士で吉本芸人カラテカ)というからびっくり。
吉本興業のコネ(おぎすさんは元吉本芸人)かと思いきや、おぎすさんと矢部さんは初対面と聞く。
その辺の詳しい経緯は本人にLINEしたが、まだ教えてくれなかった。
帯の推薦文も矢部太郎氏で、矢部太郎さんの名前がでかでかと(おぎすさんの名前より大きく)書いてあるので、矢部太郎さんの新作と勘違いされて売れそうだ(笑)。すいません。
韓国ドラマを観る妻の隣でにやにやと笑いながら不審に思われながらも読了。
至極不親切に超簡単に説明すると、長編小説を書き上げた主人公がその小説を誰かに読んでほしいけど読んでもらえないというお話。
ネタバレしないように書くが、登場人物が皆滑稽で愛おしい。
ネタバレしない程度に遠慮気味に書くと、私の爆笑ワードは『部屋の掃除』『餃子』『愛ちゃん』。大丈夫かな。
でも、笑えるだけではなく、自らの生き方を改めて考えさせられるような記述も多かった。ネタバレなしに『楽しい』『作品』『夢』。大丈夫よね。
読後はほっこり優しい気持ちになるけど奮い立つ感じ。
おぎすシグレさんの『読んでほしい』を読んでほしいけど、主人公の読んで貰えない長編小説と比して、書き下ろし処女小説が幻冬舎から出版てなんやねん!境遇違い過ぎるやろ!と突っ込みたくもなった。いや、でも本当に読んで良かった。
吉田ジョージ『風凪』
あのね、全く報われない私の小説だって読んでほしいのよ。
(2021.7.6)